お腹の中で繋がっていた私たちは、
あの日、プツンと切れて、
別々の個体に別れた。
繋がりが切れたあの日から、
「親子といえども、
あなたは別の人間だから、
きっと、理解しようたって、しきれない。
あなたは
私とは全く別の人間だから、
あなたの人生を、
好きに生きていきなさいね。
さようなら。」
あなたの成長とともに、
心のどこかでいつも
「別れの言葉」を唱えていた。
なんで、こんな感覚になるんだろうって
いつも不思議だったけど、
でもそれは、
あなたと向き合うことから逃げていたのかもね。
私と、あなたは、違う。
どうせ、理解しきれない。
性別も、性格も、
真反対の人間だからと。
でも、私とあなたは本当にそっくりだって、
私とおんなじだって、
一昨日、高野山で、なぜか突然気づいた。
初めてのことや
久しぶりのことは、すごく苦手で、
すぐにお腹が痛くなるところ
基本的に人付き合いが苦手で、
よく人とぶつかるところ
世界名作劇場を見ると、
話に入り込みすぎて、
人が死ぬところで号泣するところ(笑)
どれもこれも私とそっくり。
私とおんなじ。
真反対じゃなくて、
何周か、まわって、まわってまわって…
おんなじ所にいたよ。
だから、「別れ」を告げた。
あなたに「別れ」を告げる、私自身に。
あなたに対する「別離」の感覚に。
あなたは、これからもずっと、私の息子で
私は、これからもずっと、
あなたの母。
…
「別」